15.08.18(火) 辺野古問題について

      県議・滝田敏幸、もの申す!! 是は是、非は非(130)】

 自民党の県議であるが現下日本の関心事について、ぎりぎりのところで書く。
 やはり何といっても「辺野古移設」問題が今後、日本の国家統合を巡る危機に向かうかどうかについて本気で心配している。
 残念ながら、ニュースで取上げられる割には内地国民の関心も薄く、安全保障に係る沖縄県の「地域」問題程度の認識でしかない。もっと云えば、国会議員からも話を聞かない。率直に云えば、安全保障に関する国家と地域の次元から民族問題へと発展する可能性も十分考慮すべきなのだ。以下、日本経済新聞・Web版(8/4 13:15)を引用する。
 < 菅義偉官房長官は4日の閣議後の記者会見で、沖縄県の米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古沿岸への移設に関する作業について10日から9月9日までの約1カ月間、一時中断すると発表した。政府は夏以降に埋め立て工事に着手することを目指していたが、移設に強く反対している県側との対話を進めるため、埋め立てを先送りする姿勢に転じた >
 これを受け、御盆期間中も政府側(菅官房長官・中谷防衛相)と沖縄県側(翁長知事・稲嶺・名護市長)の会談が行われているものの主張は平行線を辿っている。

 私は沖縄の民意に対しほぼ100%のシンパシーをもって連帯したいと考えている。千葉県人としてはまず、沖縄方面隊司令官で長生郡長柄町出身の大田実・海軍中将が「・・・沖縄県民斯ク戦ヘリ 後世格別の御高配ヲ賜ランコトヲ 」と打電して自決(1945年6月9日)した事実を正面から受け止めるべきと思う。この公電は、ひたすら沖縄県民の敢闘の様子を訴えた内容であった。千言万語を尽くしても語ることのできない壮絶な地上戦を繰り広げ、日本国家のために戦った沖縄県民の実に4人に一人が犠牲となった史実はあまりにも重い。
 ところが、本土決戦を勇ましく叫んでいた内地の日本人は、二カ月後にはポツダム宣言を受諾(1945.8.15)。そして戦後も27年間、米国の占領が継続し1972年本土復帰後も米軍基地は押し付けられたままだ。で、内地は日米安保の恩恵に浴しつつ軍事と沖縄の犠牲を忘れ去り、生命至上主義のパシフィズム(絶対平和主義)と経済最優先を貫き通したのであった。
 現在の政府の沖縄に対する説得も「普天間の危険性除去には辺野古移設が唯一の解決策」の一点張り。もちろん、民主党に四の五の言われる筋合いはないが、途轍もなく困難な日米交渉でやっとまとまった合意を今更変えることなどできないという日米安保の力学と事情も存在するのだろう。ただ、こういった方便で国家の行政力をゴリ押した場合、沖縄県民の怒りの輿論は沸騰することが必定だ。結果として、県民の敵意に囲まれた在沖縄米軍基地の存続も困難となる。このことは、戦後の国体たる日米安全保障の危機に直結しかねないと考える。
 さらに、噴飯ものだったのは自民党若手議員による過日の作家・百田尚樹氏を招いての勉強会。このことについては、6/28付ブログに書いたので繰り返さないが、右バネの威勢のいい発言を愛国や保守と勘違いする反知性主義としか言いようのない代物。この手の輩、大衆世論の矢面に立つ気構えも公心もない連中に限って「沖縄の連中は日本人としての公心が不足している。日本全体の安全保障を何と心得るか!」といった類の論理が流通しているのではないか。また、「辺野古反対の運動は本土の左翼が煽っている」ということを無神経に訳知り顔で話す奴もいる。実に情けない。一部でその手の左翼も関わっているかもしれないが、辺野古反対という沖縄の現在の民意は根源的保守なのである。このことについては、三里塚闘争の歴史を学んだ者として皮膚感覚で分かるのだが、若い先生方には理解できないのだろう。要は、現象論やイデオロギー的思考ではなく、歴史感覚に基づく存在論的思考が大事なのだ。
 本ブログ読者の皆さん! 今一度、日本国にとっての沖縄の位置付けを考えてほしい。
 現在の沖縄県は、1872年(廃藩置県の翌年)、明治政府によって琉球藩とされ、1879年の琉球処分により沖縄県として日本国の一部として併合されるまでは琉球王国という独立国家だった。まず、この史実を確認しなければ辺野古問題も語ることはできないし、地域問題と民族問題の位相の差異も理解できない。
 で、繰り返しになるが、本来ならば、われわれ日本人は本土決戦を主張しながら、結果的に沖縄だけに地上の総力戦を強いたこと。さらに、戦後70年も米軍基地を背負わせていること。ましてや、これ以上の負担は非道かつ論外である。これらのことを考え合わせれば、同胞の沖縄人に、何度謝罪しても足りることはない。そして、遅ればせながら感謝と尊敬の念を奉げなければならない。このことが、大田中将の「後世格別の高配を賜らん」に通じると確信する。決して「唯一の解決策」という主張で国家の行政力を強行してはならない。(ちなみに、千葉市の指定廃棄物処分場問題への対応は、筋の通らない過剰な地域主義=egoism に過ぎない。よって、国家は法律に基づき粛々と行政力を行使すべきと考える)
 で、これから先どうするのかについては責任ある立場にないので発言は控えたい。
 次は時間がある時、原発再稼働、TPP、等々について述べたい。

 終日、事務所で仕事、来客の応対、電☎話掛け。猛暑も一服し、ホッと一息でした。
 20時、帰宅。夜、読書。

 水野和夫 著 「 資本主義の終焉と歴史の危機 」(集英社新書・740円)を読む。 中谷巌・教授に続き理論経済学からのグローバル経済批判の書。現在の危機を分かりやすく解説。役に立つ一冊。
by takinowa | 2015-08-18 22:29


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