13.11.04(月) 北総鉄道運賃問題を考える(3)

昨夜の日本シリーズ第7戦の大一番には心底ガッカリした。 巨人軍魂の欠片も示せなかった。 それにしても、全国的に俄かマー君ファンが急増したことに驚く。 はっきり言って、プロ野球は実力の世界。 芸能界と同様、浮き沈みの激しさは政界など比較にならぬ程厳しい。 ハンカチ王子とか神宮・早稲田の星とか囃し立てたマスコミも今は昔でマー君一色。 いずれにせよ、メディアの本質を理解することもインテリジェンスの第一也と心得なければならない。
 8時、松山下公園総合体育館。 第35回 木下杯(印西市近隣少年野球大会)開会式。 印西市ほか8市3町の37チームが参加。 雨天のため野球場ではなくアリーナにおける屋内形式の開会式となった。北総地区の覇者を決める本年最後の大会で祝辞を述べさせて頂く。 また、役員はじめ関係者の方々に心から敬意を表するものである。
 午前、政務で成田方面。 午後、地元印西市内を廻る。
 17時半から本ブログを根性を入れて本気で書く。 たかがブログ、されどブログ。 北総鉄道運賃問題の直接的プレイヤーに御目を通して頂くことを心から願って止まない。

          北総鉄道運賃問題(3)】
 北総鉄道の運賃問題で、まとまった記事を書くのは本日で三回目。 前回(10/27付)・前々回(10/21付)でも書いたが政治的な立場として、千葉県及び私は今回の運賃問題で直接的なプレイヤーとなっていない。 理由は過去の記事で説明してあるので繰り返さない。
 北総鉄道と印西・白井の2市関係者を除き、私も含むほとんどの県民は3度の新聞報道(8月末、10/9、10/26)という公開情報以外、この問題にアクセスできない状態が続いている。 で、現在の事実関係で明らかになったことを整理すると以下の点に集約される。

(1).2市のシンクタンクは「平成27年以降、補助金なしの現行運賃水準維持可能」とするのに対し、北総側は「値下維持に補助金必要」(10/26付千葉日報)と見解が相反。
(2).北総鉄道側は、上限運賃(元の運賃水準=H22年3月)にもどすには国土交通大臣の「認可」ではなく「届出」で可能。(10/8 千葉県議会・滝田一般質問答弁)

 この他にも幾つか論点があるが、本筋はこの2点だ。
 論理的に推論すれば、2市と北総の主張が対立し、交渉が決裂すれば必然的に「補助金ないと元の水準に」(10/9付千葉日報・県の見解)もどることとなる。 もし、そうなった場合の問題点については前2回のブログ記事で具体的に書いた。 シナリオとしてもう一度整理すると、以下の通り。

 〇 交渉の決裂=< 6市 + 千葉県 + 北総鉄道 + 京成電鉄 > の値下スキーム崩壊
(1). 運賃が現行から元の水準にもどることで、受益者である鉄道利用者からの不満爆発
(2).沿線自治体の首長の政治責任問題の浮上
(3).印西市ではもし、通学定期補助への切換えを行う場合、北総鉄道利用者以外との公平性の問題が浮上。また、複数の路線を持つ2市以外の沿線4市では事実上不可能。⇒ 新たなスキームの復活は不可能。
 〇 2市の財政負担の固定化 
 〇 高運賃の固定化
(1).国、県、沿線4市は、公的支援のスキームの崩壊により、北総線運賃問題から撤収。
⇒ 2市の孤立化=外交敗北
(2).北対協(印西・白井の2市)のみによる北総鉄道への要望活動に逆戻り。 ⇒ 永続化
(3).北総側は要望を受け取るだけで交渉に応じない。結果として ⇒ 高運賃が固定化

 何度も繰り返すが、私は新聞報道と自分の県議会一般質問のみから推論して上記の最悪シナリオを書いた。 恐らく普通の理性をもった人なら同意して頂けると確信する。 で、経済交渉の場(=ゲームのルール)は御互いが「正義は我に有」を主張し合う場ではないことを、これまでにも繰り返し書いた。 ここで、印西・白井2市を含む鉄道利用者の側に立って意見具申する。

 〇 2市の交渉に関する立場と基本的考え方
(1).現在の公的支援の枠組維持を6市+千葉県で合意 (※ 2市がシンクタンク報告書に基づく主張に拘ると結果的にスキームは崩壊。よって、交渉時の参考資料扱とする)
(2).6市+県で、北総と補助金支出の期限に関する交渉を即スタート
(3).補助金支出の期限について、6市+県と北総鉄道が合意
(4).H27.4~ の現行の値下水準維持。 (=事実上の運賃の値上りの回避)

 印西・白井両市の政治エリートに告ぐ。これまでも書いてきたが、経済交渉には相手がある。 しかも、国への「届出」のみで済むということは、相手(北総側)が絶対的カード=切札を保有していることを意味している。 ここは、補助金支出をH27.4~いきなり との主張に拘らず、6市と県のスキームで、「 補助金支出の期限 」について北総鉄道と理性的かつ粘り強い交渉を即刻開始すべきと考える。 このままでは実際の具体的交渉が一切行われず、御互いの主張が言いっ放し状態の空中戦が続く。 不作為の時間は一刻も許されない。
 私は、「 補助金支出の期限 」等々で具体的な前進を勝ち取るのが責任ある交渉であり政治と考える。 いわゆる補助金支出の期限と云うトンネルの出口が遠くにでも見えてくれば、国、県や6市の状況も変わってくるはずだ。 今後も6市+県のスキームを維持し、運賃の更なる値下に向け粘り強い交渉を行っていくためにも、2市には理性的な判断を求めたい。 で、この間ずっと申し上げてきたが、何としても現行のスキームだけは絶対に守らなければならない。
 私には両市の政治エリートが何を考えているか、現時点では分からない。 ただ、現実の経済交渉にあたっては、起死回生や一発逆転などないことを十分心得て頂きたい。 地道な交渉の積み重ねを事業者と粘り強く続け、じわりじわりと現実を動かしていくしか方法はないのである。
 間違っても、地元世論を背景に「株主代表訴訟裁判で争えばいい」とか国会議員の力で「京成電鉄の黒字を値下の原資に」といった幻想的な考え方に乗ってはならない。 かつて戦前の軍部や西南の役の薩軍が陥った過ち、すなわち、主観的願望が客観的情勢や現実を変えられるとの精神論や楽観的思い込みは愚の骨頂だ。 もっと言おう。 責任ある行政に賭け(ギャンブル)は絶対に禁物である。 ましてや市民運動の主張する空想的「抜本的値下」も観念論としては結構だが、行政は現実的な意思決定を行うことが第一だ。
 くどいようだが、2市の政治エリートにしつこく申上げる。 思い詰めて、経済交渉の決裂(開戦)に至ってはならない。 決裂を回避する思想を育み叡智を結集してほしい。 自分の政治的思惑ではなく、先ず以って経済交渉の負け戦のことを是非考えてほしい。 そもそも、8月末の時点でシンクタンク報告書が公表されたこと自体、スキームへの影響はもちろん、負け戦のことなど一顧だにしてしていなかったのではないか。 地元市が被る甚大なる財政負担(血税)や受益者(鉄道利用者)の側の痛み(もちろん2市だけでない)に関するリアリティの欠如は大罪と考える。

 北総鉄道運賃問題について、客観的情勢が動けば今後も本ブログで記事を書いていくつもりである。 事態の推移次第にもよるが、北総鉄道や両市の政治エリートの主張について、経営上や政治的思惑も含め、より深層に迫るため適宜論評を加えて参りたい。 もちろん、鉄道利用者の利益を守ることを第一に考えてである。
 で、相当の重複部分もあるが、現時点における私の基本的考え方は3度の連載で十分申上げたつもりだ。 改めて過去の記事「北総鉄道運賃問題を考える」(1)と(2)(10/21、27付)を併せて御読み頂ければ幸甚である。 御蔭様で過去2回についても相当の反響があった。 で、ほとんどが私の考えに御理解頂く意見が寄せられてきているが、案の定、「滝田は京成の手先」、「弱腰」、「(5年前の公的支援スキーム作りについて)余計なことをして京成を助けた」等々の罵詈雑言が直接ではなく、陰口として間接的に私の耳に入ってくる。 「 抽象的真理はない、真理は常に具体的である」(レーニン) しかも現実的でなければならない、と私は思う。 よって、悪意ある陰口に私が怯むことは絶対にない。  
 西郷隆盛の「己を愛することは悪しきことの第一也」は私の座右の銘である。 この言葉を2市の政治エリートに贈りたいと思うものである。
by takinowa | 2013-11-04 20:00


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