12.09.15(土) 中国反日デモ、国交正常化以降最大規模

      県議・滝田敏幸、もの申す! 是は是、非は非(105)
       【 中国社会の内在的論理を理解せよ! 】


 尖閣諸島の日本政府による国有地化に対し、中国全土で反日デモが拡大。「日中国交正常化以降、最大規模、各地で暴徒化」と報道されている。
 日本人としては全く以って、不愉快な話である。 だが、ここはアーネスト・ゲルナーやべネディクト・アンダーソンをはじめ一級の社会科学者の知見に基づき、この事態を冷静に分析しなければならないと考える。
 現在の中国は米国に次ぐ世界第二の経済大国となったが、近代化の過程にある。 中国の近代化とは政治的には一党独裁体制下の民主化であり、経済的には高度消費社会を目指す産業主義だ。 ここに、中国の絶対矛盾が存在している。
 一般的に民主国家では近代化実現のため、教育水準の向上、移動の自由、経済・金融及び大衆的コミュニケーション等々に関する社会的インフラをハード・ソフト両面で整備しなければならない。 近代ヨーロッパでは、国民の国家への帰属意識と政策の実効性を高めるため、動員型のイデオロギーたるナショナリズムが登場し活用された。 細かい理屈は省略するが、近代化とナショナリズムの親和性は極めて高い。
 一方、中国は人口13億を超す超大国である。 近代化による民主化の進展や教育水準の向上は、国家統合のイデオロギーであった毛沢東主義からの解放を意味する。 また、産業主義がもたらす経済の自由化と市場主義は優勝劣敗と弱肉強食の世界、すなわち貧富の格差を生む。 そこで、13億・人民の民主化要求や経済的不平・不満の矛先を、支配者は共産党から何とかして反らさなければならないという課題が生じた。 そのため、08年北京五輪及び10年上海万博以降特に、共産党一党独裁体制を維持する上で、ナショナリズムは国民統合のイデオロギーとしてより強化され不可欠な状況となった、と筆者は分析する。 南京「虐殺」をはじめとする歴史問題や尖閣諸島事案等々の反日カードを間断なく切り続けることで、自らの支配と権力維持をはかっていると見立てるのが妥当であろう。
 ただ、中国社会には、共同体や政党、企業・・・などといった中間団体が自生的に育った先進国と異なり、市民社会イデオロギー(マルクス、平田清明)は存在しない。 すなわち、中国社会とは国家が人民とダイレクト(直接)に繋がり、支配する体制なのだ。 
 現在、中国政府は反日ナショナリズムカードを切り続けている。だが、この人民の怒りの矛先が、いつ中国共産党へ向くか分からないのも事実である。 当然、内戦による大混乱も想定内といえよう。 さらに、チベットやウイグルはじめ多くの民族問題を抱える中国は現在でも覇権主義の帝国主義国家だ。 いずれにせよ、いつ、どこで火を噴くか分からない、実に厄介な隣国といえよう。
 私は今こそ、孔子・孟子をはじめとする儒教や諸子百家といった中国の古代思想と歴史、同現代史を正面から学ぶべきと考える。 厄介な国の強(したた)かな内在的論理を理解し、対抗しなければならないからだ。 われわれは日本人は徹底してインテリジェンスを鍛えなければ、現下の危機的状況を乗り切れないと、筆者は真剣に思うものである。

 終日、地元で政治活動。 内容は秘密。 大義ある政治は、必ず歴史が正しく評価すると確信するしかない。 無責任な輩が流布する風説など蹴り飛ばし、正々堂々、ブレずに参りたい。
by takinowa | 2012-09-15 21:00


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